INTERVIEW
竹田にルーツを持つ3人が、ファインダー越しに竹田の今を表現。
移住者が増え、新しいお店や人が増えてくる一方で、高齢化により無くなってしまうお店や、趣ある建屋が突如空き地になってしまうことがあります。
時が経つにつれ、変わりゆく街並み。竹田の今ある風景や、何気なく過ごしていると気づかない日常に隠れた魅力を、カメラを使って切り取り、インスタグラムを通じて発信しているのが「竹田チャンネル」です。
友永創介さん、小島隼人さん、直人さんの竹田にルーツを持つ幼なじみの3人が始めた「竹田チャンネル」の活動は、今、竹田で暮らす人々にとって、地元の魅力を改めて知る機会にもなっています。
「撮りたい写真が竹田の風景だった」と話す彼らの活動にフォーカスしました。
左から友永創介さん、小島直人さん、小島隼人さん
- プロフィール
友永創介(27) 飲食店勤務
城下町の和食料理店「友修」の長男。竹田高校を卒業後、東京の大学で食品関係について学ぶ。卒業目前にしてアトピー性皮膚炎が酷くなり、療養のため帰郷。その後京都の老舗旅館や花屋さんにて、日本の文化や伝統を学ぶ。26歳でUターン。実家の「友修」で働きながら、竹田の美を写す活動を続ける。小島隼人(27) 公務員
竹田高校卒業後、福岡の大学に進学。在学中に父から譲り受けたNikonの一眼レフでカメラを始める。卒業後は大分市役所に勤務。現在は大分市に生活の拠点を置きながら、休日に竹田に帰郷している。趣味は登山。久住山の霧氷の美しさに感動して以来、山に登り、美しい風景を撮ることに夢中。小島直人(24) 大学院生
隼人さんの弟。竹田高校を卒業後、大分大学理工学部に進学し、大学院ではプラズマを専攻。高校、大学は実家から通える場所を選択するほど、大の竹田好き。父の影響で小学生の頃からカメラを始め、竹田の街並みを中心に撮影を行う。大学院修了後はフリーのカメラマンとして竹田を拠点に活動予定。
-
「竹田チャンネル」の活動内容を教えてください。
友永さん:2020年の9月から、インスタグラムで「竹田チャンネル」というページを作り、竹田の人や街並みの写真をアップしています。「写真する僕たち」というテーマを掲げているのですが、これは有名な写真家の方の言葉で。写真するというのはアプローチが自分に向いていますよね。ボタンを押せば写真なんて簡単に撮れる時代ですけど、そこに真摯に向き合って写真を撮ることに対しての幸せを感じたい、それを3人で共有できたら楽しいなと思いながら、活動をしています。
-
活動の軸を竹田にした理由はありますか?
友永さん:活動を始める少し前に、僕の周りにいた大切な人が立て続けに亡くなったんです。「人はいつ亡くなるかわからない」ということを改めて実感したのと、母が遺品を整理しながら「亡くなってしまったら、写真しか残らんのよね」と言った言葉がすごく心に残り、自分の近くにいる人たちの写真を撮りたいと思うようになりました。同時に、幼なじみの二人がカメラをしていることを思い出し、写真のテイストが異なる3人が、共通点である「竹田」というテーマで撮り溜めたら面白いんじゃないかと思い付いたんです。
隼人さん:僕ら兄弟は父のカメラを譲り受けて、写真を撮るようになりました。僕は久住山が好きで、山の写真を主に撮っていますが、竹田を撮るという感覚ではなかったんですよね。でも創介の話を聞いて、僕は「竹田を撮っていたんだ」と気づいてから、写真を通して地元の魅力を伝えるのは面白い活動だなと思い、参加しました。
直人さん:僕はカメラを使い始めて10年が経ちますが、自分で撮ったお気に入りの写真は全て、竹田の中で撮ったものだったんです。子どもの頃からずっと竹田が好きですし、自分が撮りたい写真は竹田にあるんだなと気づいたので、視点が違う3人がそれぞれの竹田を撮って発信するのは楽しそうだなと思いました。
-
竹田のどういう風景を撮影するのが好きですか?
友永さん:3人ともそれぞれが自由に撮影をしていますが、僕は昔から花とかアートとか陶芸とか、美しい物が好きで。それは父方のおばあちゃんが山野草が好きだったり、母方の祖母も俳句や短歌、お茶をしていたり、日本の文化とか伝統というものに小さな頃から触れてきた影響もあって、日本の美意識みたいなものが好きなので、人をメインにしながらも、竹田で美しいと感じたものを撮影しています。
隼人さん:僕は基本山の写真で、そのうち7割は久住山の写真を撮っています。新卒1年目のときに、職場の人と冬の久住山に登ったのですが、あまりの霧氷の美しさに感動して。そこからカメラを手に毎日のように登山するほどハマりました。新緑も紅葉も霧氷も、四季を感じられる久住山の風景を撮っています。
直人さん:僕が「竹田チャンネル」に載せる写真を撮る時は、だいたい散歩中に撮影した風景です。普段同じルートで散歩をするんですけど、カメラ持って歩くといつも違う風景が取れるんです。地元の人が気づかない、知らないような写真が撮れたら嬉しいですね。
-
活動をする上で意識していること、これから撮影してみたい写真はありますか?
友永さん:今の竹田の城下町は古い空き家が急に空き地に変わったり、新しく建物が建ったり、町がすごく変わっているなと実感しています。変わってしまったら、ここで育ってきた僕たちもここにどんな風景が広がっていたのか忘れてしまうかもしれないので、そのためにも今の竹田を撮影しておきたいと思っています。
直人さん:さっきちょうどお店の古い看板が塗り替えられていたんですけど、それも一つの歴史が変わる瞬間ですよね。そういう一瞬も残していきたいですね。
隼人さん:竹田で暮らしながら、竹田の人が気づかないような視点で撮影できるのが「竹田チャンネル」の面白いところだと思います。僕たちの活動を見て、「竹田で写真を撮りたい」という外の人が増えてくるように、これからも3人で発信を続けていきたいですね。
- 編集後記
小さな城下町を中心に、日常の様々なシーンを若い3人の感性で切り取っていく「竹田チャンネル」。観光目線とは全く異なる彼らの視点で撮影された、何気ない日常や竹田で生きる人々の姿は、竹田での暮らしをイメージする一つの指標となるかもしれません。
3人のチャンネルがこれからどんなシーンを写していくのか、今後の活動も楽しみです!