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1804年創業、大分県で一番古い和菓子舗

食品製造業・販売業/しごと型

有限会社 但馬屋老舗 

食品製造業・販売業/しごと型 〒878-0012 大分県竹田市竹田町40番地

2024年8月8日 公開

変わらない尊さ、伝統を受け継ぐ喜び

文化元年(1804年) 旧岡藩御用菓子司として創業した但馬屋老舗。代表銘菓の「三笠野」「荒城の月」は江戸時代より作り続けられ、明治初年に竹田銘菓として一般販売されました。祖母山麓より流れる名水で極上の素材を使い、昔から変わらぬ製法で一つひとつ職人たちの丁寧な手仕事で和菓子を作り続けています。季節ごとに年間100種類以上の和菓子を製造し、芸術家とのコラボやイベントなど、新たな和菓子づくりの開発にも取り組んでいます。直営の2店舗では茶房も併設し、全国のデパートやオンラインショップの販売も展開しています。220余年変わらぬ伝統を守りつつ挑戦を続ける、大分県を代表する老舗和菓子店です。

六代目当主 代表取締役 板井良助

竹田の大自然からうまれる、和菓子

竹田市出身の大塚理美(おおつか さとみ)さん。但馬屋老舗の代表取締役板井良助さんの次女として生まれ、福岡県で就職後、竹田市に戻り、但馬屋老舗に入社しました。現在入社14年目を迎える大塚さんに、この仕事の魅力について伺いました。

 

― 入社した経緯を教えてください。
竹田高校を卒業後北九州の大学に進学し、ゼミではツーリズム(観光学)を専攻していました。ゼミの先生が「あなたのお家と同業の会社から、大学に求人が来てるから話を聞きに行ってみたら?」と勧めてくださり、それがご縁で福岡博多にある石村萬盛堂に入社しました。洋菓子も和菓子も扱う、こちらも100年続く老舗で、販売と営業本部企画部署を経験し、3年間勤務しました。今でも研修ノートや社長のお話を見返すことがあり、すごく勉強になりました。
竹田にはいつか帰らなくてはいけないのかなと漠然と考えていましたが、祖母の介護が必要で、一旦区切りをつけて25歳の時に竹田に帰ってくることになり、但馬屋に入社しました。福岡に戻りたいなという気持ちもあったんですけど、仕事をしていくなかで自分の力を発揮できる部分がだんだんと増えて、結果会社から必要として貰えるようになり、今に至ります。

 

― 現在の業務内容について教えてください。
製造以外の全体的な業務です。広報と経理、店頭での販売、オンラインショップも担当しています。県外から来られるお客様も多く、オンラインショップも県外から注文いただくことが多いので、日本全国の方が見て雰囲気がいいなと感じてもらえるよう、私が入ってからホームページはリニューアルしました。デザイナーさんと一緒に考えて、お菓子の視覚的な美しさにもこだわり、ブランドイメージを上げるよう取り組んでいます。

 

― 広報担当として但馬屋老舗のご紹介をお願いします。
公式YouTubeの映像でも表現しているのですが、但馬屋が今もここに存在しうるのは、竹田という環境のおかげですね。まずもって大自然、この豊かな自然があってこそで。餡子って、水をたくさん使うんです。竹田城下町の水は祖母山系の湧水で軟水なんですが、それが餡子にとてもマッチしたお水で、うちの餡子はきめ細かく口どけが良いと言われるのは、お水のおかげかなと思います。餡子が美味しいというのは大前提ですから。小豆、水、作り手の丁寧な技術、その3つが揃って初めて美味しいものが出来ます。水って自分たちではどうしようもない、与えられたものなので、この環境に感謝ですね。なのでうちがここから動くことはない、竹田あっての但馬屋。それからこの城下町という環境ですね。半径500メートルの小さな町に文化がひしめき合っている。町に住む人は芸事が趣味で、ほんとに文化豊かな土壌があるんですね。そういった文化と歴史の上で竹田が成り立っている。そういうものを吸収してお菓子になっていると思います。

品質にこだわり、美味しいものをつくる

―  今回インターンシップで募集している販売と製造の業務について教えてください。
販売の仕事内容は多岐にわたっています。お客様にお菓子をご紹介して販売することが基本ですが、やはり竹田のことやお店のことも聞かれますので、物を売るだけではなく、自分が宣伝部長みたいな意識でお客様にご紹介をしています。市外県外から来られる方が多いので、竹田の代表と言うとおこがましいのですが、当店だけでなく、”竹田へ来てくださっている”という意識でお客様に接していただくのが販売の仕事です。他には電話対応、発送業務です。
製造の方は、餡子を炊くところから始まり、その餡子を使ってお菓子にしていく。そこから仕上げ作業をすべて工場内で行っています。その人それぞれの得意な部分があると思いますので、入社されてから、向いている業務を提案し、お仕事が決まっていくような形です。餡から作るお店って今は少ないらしく、餡子屋から仕入れている所も多いらしいんですけど、当店は製餡からするのでお菓子が出来る行程を見れる、体感していただける環境になっています。手作業がほとんどで従業員も女性が多いんですけど、製餡って実は力仕事で、男性も必要な仕事もあります。洋菓子と違い、和菓子はずっしりとしているので、割と力仕事の部分も多いんですよ。

 

―この仕事のやりがいを教えてください。
やはり「美味しい」ってお客さんに言ってもらえた時ですね。自分が美味しいと思っているものを喜んでもらうって単純ですけれど、それがほんとうにやりがいですね。当店のお菓子は原材料を見ていただくと、シンプルな材料で添加物も無くて保存料も入っていない。だから日持ちも短く、不便かなと思われるところもあるんですけど。売れるものを作ろうというより、美味しいものをつくる。それが、うちのこれまでやってきたことなんですね。ですので、美味しくないものは一つも無いんです。売りやすさ、扱いやすさに行くと品質が犠牲になってしまいます。
時代の流れで健康志向や不自然なものに気づく人も増えてきてるなか、当店はずっとそれを続けてきただけですが、うちの存在意義というものがあるのかな、そういう時代にもなってきているのかなと。「ここのお菓子がいい」と、ずっと常連で来てくださるので、うちもその期待に応えたい。自信を持って商品をご紹介できるっていう喜びもありますし、お客様から「ありがとう」って言われることが何よりもやりがいに繋がりますね。

 

― この会社の好きなところを教えてください。
女性の従業員が多く、子育て中の方には理解のある会社だと思います。お子さんの体調不良で休まないといけない時は、快く休める風土はあるなと思います。繁忙期以外は割と有休も取りやすいです。新年会やお茶会等を通し交流をしたり、人数もそこまで多くないので従業員同士の距離が近い会社だと思います。豊後大野市、大分市から通勤している方もいて、人情に厚い人が多く、皆さん自分の会社に誇りを持って仕事をしてくださっています。誇りを持って働ける環境があるのは、皆で作り上げたからこそです。人財と書きますが、但馬屋にとって従業員が宝、財産です。

 

自然と文化の触れ合いが、子どもたちの未来を育む

―  改めて感じた竹田の良さはありますか?
外に出て帰ってきたからこそ、やっぱり環境の豊かさ。お水しかり空気しかり緑が多くて、朝窓開ければ鳥の声が聴こえる。やはり日々そういったものに英気を貰うことができますよね。夏でも水道から出る水が冷たくて気持ちがいいです。毎朝お茶を自分で淹れていて、今日は何の茶葉にしようかと朝の一杯を大事にしていて、心もですけど、ゆとりの持てる生活が送れています。

竹田に帰ってきた頃から竹田薪能や瀧廉太郎関連のことですとか、社会活動、文化活動にも声をかけていただいて、アートカルチャーのメンバーとして取り組んだり、仕事以外でも充実した日々を過ごしています。但馬屋があるのは竹田の文化のおかげというのがあるので、社内にホールが二か所あり、音楽や詩の朗読等いろんな活動にお使いいただいてます。それもやっぱり文化が豊かな町を作っていきたい、それを寄与する義務があるという社長の考えで。私も新たに少年少女合唱団を立ち上げたんです。竹田は合唱などの音楽も盛んで、昔は私も少年少女合唱団に所属していました。いろんな理由で消滅してしまって、音楽の町なのに子どもが音楽に触れられないというのは損失ですよね。ずっと指導者を探していたところにピアニストの方が移住されて、意気投合してつくることになりました。子どもたちが文化に親しめる環境をこれからも作っていきたいですね。

 

 

―竹田で子育てする環境について教えてください。
2年生と4歳のふたりの娘がいます。虫や蟹を探しに行ったり気軽にできますし、子ども時代ってやっぱり土を触ったり、木に登ったり、すぐそこに自然があるので、本当にいい環境だなと思います。今から都会に行って子育てしなさいって言われたら、ちょっと無理だなと思います(笑)。

竹田には産婦人科が無くて大分市まで行きましたが、無いなら無いで学習するんですよね。準備もしますし。そばに産婦人科があった人がいきなりこっちに来たら、すごく不安だと思うんですけど、間に合わなかったという話も聞きません。それよりも大分市まで視野を拡げて自分が安心できる病院を選んだので、不便だなと思わなかったです。命の問題なので、近いから良いという選択じゃなくて、「どこにする?」という所から調べると思うんですよね。他の保護者の方とも近いというか相談もしやすく、その点では子育てで孤立することはあんまり無いんじゃないかなと思います。竹田市の子育て広場など、開けた場があるのも素人ママには有り難かったです。小さい町ながらもサポートしようという姿勢が見える。私の子どもが通っている保育園は市の認可ではないですが、空手やそろばん、茶道など、いろんな活動ができる保育園もあるので、環境は結構しっかりしています。

食を通じて、人の喜びが自らの喜びにつながる

上品で繊細な甘さ。竹田の品格そのものを象徴する但馬屋老舗のお菓子。大塚さんは言葉を選びながら、丁寧に語ってくださいました。創業から西南戦争など様々な歴史の変動を経て、守り続けられた味は、現代においても人の心を動かします。

 

―  最後に、社会人インターンシップ参加者へメッセージをお願いします。
まずは、食べるのが好き。お菓子に限らず、食べるっていうことが好きな人が前提としていいと思いますね。やっぱり食べるものに興味がなければ、作るのも売るのも楽しくないと思いますし、人の喜びが自分の喜びと感じられると、ご本人も楽しく、うちも嬉しいなと思います。

 

移住って、すごく大きな決断だと思うんですよね。ましてやご家族連れ、単身じゃない場合はすごいことだと思います。受け入れる側のこちらもそういった覚悟を持って来られてるというのは大事にしたいので、まずはお試しでこの制度を使って、気軽に来ていただけたらいいなと。あんまり気負わずに来てもらえるといいなと思います。それでもし、竹田を選んで来てくださるなら、やっぱり嬉しいですし、応援したいです。「ありがとう」という気持で、できることはしたいなと思います。

 

有限会社 但馬屋老舗 

業種食品製造業・販売業/しごと型
所在地 〒878-0012 大分県竹田市竹田町40番地
TEL0974-63-1811
FAX0974-63-1882
HPhttps://tajimaya-roho.co.jp/
募集職種販売員、和菓子の製造
雇用形態正社員
給与など月給16万円~
仕事内容販売員の仕事は、主にお客様へのご案内、電話対応、発送業務です。
製造の仕事は、和菓子製造及び包装などの仕上げ作業です。
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